
前回記事からの続きです。
前回はADHDの特徴や、それぞれが異なる性質に対する名称であることを解説しました。
今回はもう少し具体的な内容や対策について考えていきます。
どんな悩みがあるか
一言にADHDと言っても、出てくる性質や特徴は一つではありません。
いくつか本に取り上げられていた部分を感想交えつつ抜粋してみます。
ミスが多い
日常生活で忘れ物や失くしもの、ミス等が多いことが挙げられています。
ADHDの中でも不注意型の特徴と言えるでしょう。
ここで大切なのは、本人はしっかりやろうとしているのに集中できない、という原因があることです。
集中しようとすると他のことに気を取られたりして、あっという間に思考が別の場所に飛んでいってしまいます。
これを思考の多動性、と表現されるようです。
ADHDのもう一つの特徴をうまく紐付けられていて、とても絶妙な表現だと思いました。
そうして元のことを忘れてしまい、結果としてミスだったり、ということにつながってしまいます。
同じような特徴をアスペルガー症候群でも挙げられることがありますが、アスペルガーの場合は自分の世界を強く持ちそもそも人の話を聞く状態でなかったりします。
なのでこういう特徴がある、というだけではなく、「なぜそうなってしまっているか?」という部分に着目することが大事ということが分かります。
気配りができない
こう書いてしまうと本人の性格なだけでは?と思われてしまうかも知れません。
ここも原因の部分に着目すると見え方が変わってきます。
ADHDの場合、ここでは多動性のほうが影響してきます。
とにかくしゃべりが多いことが特徴。
時には人の話に割り込んだり、場を仕切ったりしても自分の話したいことを話してしまうことがあります。
それが気配りができない、と表現されてしまうのですが、実際に気配り、つまり他人の気持ちを考えていないのか、ということだと、完全にイコールにはならないようです。
考えてはいたりしても、つい自分の話を続けてしまう、気になったことを話してしまう。
多動性の中には衝動性もあるようです。
自分自身では気付かないとなかなか制御できない部分であり、この本を出す理由の一つにもなっているのではないかなと思います。
時間にルーズ
つい待ち合わせの時間に遅れてしまったり、何かをすることに遅れてしまったり。
時間にルーズと思われていることも特徴の一つのようです。
ただし、これにも原因があります。それは予定を詰め込みすぎてしまう、こと。
時間の見積もりがなかなか正確にできず、あれもやれる、これもやっておこう、と思っている内に時間が過ぎて…とついつい時間にルーズ、な形になってしまうようです。
ちなみに、この予定を詰め込んでしまう、というところにも思考の多動性、があります。
やろうと思ったことが広がっていき、整理ができずに全部やろうとして失敗する、というパターンが多いよう。
このパターンの人だと言動の多動性は低めに出る特性があるようです。
一様にすべての特徴が出るわけではありませんし、ここに挙げたものを見るだけでも一見正反対に見えてしまうものもあります。
そもそもが、ADHDに限らず人のパターン、特徴は白黒とはっきり境界線があるものではなく、あくまで医学的な都合だったりで線引きをしているだけだと個人的に考えています。
このグレーな部分をどう許容していくか。
曖昧なものはつい名前をつけて、自分でわかるように解釈してしまいたくなってしまうのですが、そこをどう客観的に見れるかがとても大事だと思います。
治療後、部屋が片付きすぎて混乱する
ADHDの治療を始めると、今までは出来なかった部屋が片付けられるようになったりなど、様々な変化が出るようです。
これは一見良いことのように見えます。
事実、それを望んで治療にあたっているわけですから、正しく効果が出ているわけです。
それでも、今までの自分と違いすぎて、混乱、戸惑いを覚えるようです。
単にできるようになってよかった、だけではなく、今こうやってできるのに、なぜ今までは出来なかったのだろう、と自己否定につながってしまいかねません。
そうでなくとも、ADHDを疑って病院に行くことはハードルの高いことだと思います。
私自身発達障害で受信したことはありませんが、精神科への受診は行くまでに相当ためらった記憶があります。
また、薬が効きすぎる、というかこんなにも変わるのか、という思いもその点で少し分かる部分があります。
身体的な症状では薬が効いて当たり前、のように思っているのに、精神的な症状でまったく同じようには考えられていませんでした。
まるで、今までの自分ではないような感覚。
生まれ変わったような、というポジティブな側面ではなく、これはだれ?と自身のことが分からなくなってしまうような感情が出て来るのだと思います。
まとめ
今回はより具体的な特徴について掘り下げてみました。
ただ、文中でも触れましたがこれら全てが症状として出るとは限りません。
人によってかなり個人差があると思いますし、一見すると結びつかないようなところもあると思います。
ただ、その特徴、性質がなぜ出ているのか?どのようにつながっているのか?をたどっていくと、その根底にある自分自身のすがた、が見えてくるのではないでしょうか。
これは発達障害に限らず、定型発達、いわゆる普通の人、でも非常に大切な意識だと思います。
私自身も自分の性格だと思っていた部分をまた改めて掘り下げてみようと思います。
そのあたりはまた別の記事にでも。
次回はADHDの治療や、どういったことに注意していくべきか、といった観点を掘り下げてみます。